去る10月17日、ドレスデン国立歌劇場1で行われたR.シュトラウス(1864-1949)の『サロメ』を観てきました。下調べなどは一切していなかったのですが、通りがかったらたまたまやっていることがわかったので、急遽チケットを入手しました。わたしはあまりオペラは観ないのですが、『サロメ』を初演した劇場で『サロメ』を演り、その場にわたしもたまたまいるのですから、観ないわけには行かないでしょう。
ドレスデン国立歌劇場はドイツ最古のオペラ劇場で、リヒャルト・ワーグナーが1843年から1849年まで指揮者を務めており、『さまよえるオランダ人』『タンホイザー』などを初演した場所としても知られています。リヒャルト・シュトラウスも『サロメ』、『エレクトラ』、『薔薇の騎士』などを初演しており、格としてはドイツ屈指の劇場といえるでしょう。
劇場の券売場(ボックスオフィス)は通常劇場にありますが、個々の場合は劇場の面する広場の反対側の建物にあります。
『サロメ』作品54は、リヒャルト・シュトラウスが1903年から1905年にかけて作曲した1幕のオペラです。この劇場で1905年12月9日に初演されました。ライトモチーフを使い、半音階を多用し調性感が拡張され、当時としては音楽としても大変斬新でそれがデカダンスを表していたようです。
さて、今回の舞台ですが、一言で言うととても不思議なものでした。服装が現代に移されているのはまだ良いとして、Narrabothがリラックマみたいなくまの着ぐるみだったりと、なかなかシュールでした。異常な家庭に育ち、幼稚性の独占欲の強さと凶暴さを維持したまま娘になったサロメの狂気がそれにより増幅され、ある意味効果的だったとも言えるかもしれません。サロメはヨナカーンの首に接吻し、そして、あたかも人形を寝かしつけるかのように自分のベッドにその首をおき、その隣に自分も寝ます。そしてヘロデの「あの女を殺せ!」との命令と共に、一気に舞台が暗転して幕を閉じます。
その片鱗は以下のYoutubeビデオからわかります。2
ちなみに、劇場の中はこんな感じでした。
第二次大戦の空襲で瓦礫の山になった劇場ですが、良く立て直しましたね。日本だと別のものを作ってしまいそう。
ホワイエはこんな感じ。
オペラが終わって外に出てみると、当然もう真っ暗になっていました。
ドイツ関係の記事
- API Days Berlin 2017 プレゼンテーション
- ハンブルグでハンバーグ・ステーキを食べてきた
- C.P.E. Bach のお墓参り~ハンブルク・聖ミヒャエル教会
- ベルリン・テーゲル空港でSIMゲット
- ドレスデン歌劇場『サロメ』にはリラックマが出て来る?!
- クラシック音楽の父、C.P.E. バッハ〜生誕300年
音楽関係の記事
- 季節のご挨拶〜バッハ:シチリアーノ(フルート、スピネット)
- ヴァイオレット・エヴァーガーデンの舞台で「みちしるべ」
- おすすめの隠れた名曲〜ダマーズ:フルート、オーボエ、クラリネットとピアノのための四重奏曲
- 季節のご挨拶〜J. S. バッハ: 羊は安らかに草を食み(フルート、ピアノ、スピネット、マリンバ)
- 今年もお世話になった方々へのご挨拶〜Fauré: Pie Jesu
- 『2台のマリンバのための嬉遊曲』〜横山菁児1周忌によせて
- ベートーヴェンが求めた「月光」の響き
- 季節のご挨拶:『Cantique de Noël (O Holy Night) 賛美歌:第二編219番』に寄せて
- のだめデビューコンサートの場所は?異色だけど良い演奏?
- のだめカンタービレの三善のアパルトマンのロード・オブ・ザ・リング門に行ったらそこは…