さて、ミルヒことシュトレーゼマン指揮のイギリスの一流管弦楽団でショパンのピアノ協奏曲第1番を弾いてデビューするのだめですが、このホールはどこでしょうか?『のだめカンタービレ#22』P.65にヒントがあります。
これもまぁ、完全一致ですね。ということは、「イギリスの一流オーケストラ」は「ロンドン交響楽団」ですね。
ショパンのピアノ協奏曲第1番は、ショパンが故国ポーランドを後にする告別コンサートのために書かれた曲です。壮大なオーケストラだけの序奏の後に、ピアノが「バーン」と入って来ます。そこでのだめはいきなりリハーサルとはまるで違って「えっ 遅っ… なんつー独創的な演奏!」(原作P.79〜81)を展開するわけですが…。実写版映画ではそうでもないのですが、アニメでは忠実的に、めったにないような遅いテンポで演奏します。
実は、わたしはこの曲あんまり好きじゃなかったんですね1。ピアノはきれいなんだけど、オーケストラが薄いしな〜、ピアノにたいしてオケが取ってつけたようだよな〜同じショパンでも後期と比べると曲としての密度がなぁとずっと思っていました。それが、アニメ版を聴いて、「ん?これは今まで思い違いをしていたかもしれないぞ」と思い始めたのですね。それで、片っ端から音源を当たり始めました。そしたらありましたね〜、スゴイ音源が。これです。「ぎょっとするほどの強烈な個性」との評もあった演奏です。
ちょっとまずピアノの出だしをYoutubeで聴いてみてください。
これねぇ、評価が別れる演奏だと思います。人によっては「下品」という人もいるでしょうが、スゴイです。1999年発売ですから二ノ宮知子さんもひょっとするとこれを聴いてぎょっとして、「えっ 遅っ… なんつー独創的な演奏!」という表現を見出したのではないかとすら思えるほど。だって、「これじゃまったく違う曲だ」「でも……すごくいい‥!!ピアニスティックなパッセージを即興的に情感豊かに弾きあげる」(P.82)「そして 一音一音の美しさ 音楽の強さがあっという間に人を引き込んでいく」(P.87〜88)等々、全部当てはまるのだもの。
さらに、この演奏はオケの表現も面白くて、いままで感じていた薄さを感じさせない。若かりし頃にショパンコンクールで優勝したポーランド人ピアニストがポーランド人オーケストラを率いてたどり着いた一つの到達点がここにあると言っても良いでしょう。
(追記)
FBの「クラシックを聴こう!」というグループで、シュトレーゼマン+のだめには、サムソン・フランソワ+ルイ・フレモーの演奏が近いのではないかという指摘をうけました。こちらです。
確かに、普通のテンポでオケが始まりながらピアノの入でいきなりテンポを落とすのは、のだめの設定そっくりです!
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FBの「クラシックを聴こう!」というグループで、シュトレーゼマン+のだめには、サムソン・フランソワ+ルイ・フレモーの演奏が近いのではないかという指摘をうけました。こちらです。
https://youtu.be/Q3rQ1G055UQ
確かに、普通のテンポでオケが始まりながらピアノの入でいきなりテンポを落とすのは、のだめの設定そっくりです!
オケはポーランドの方が好きですが、ピアノはサンソン・フランソワが好きです
フランソワ、よいですよね!