戦場の雲

戦場に積もり行きたる苦しみの過ぎたる日々の消え行きし雲 糸数(沖縄・玉城村)の真っ暗な地下壕(アブチラガマ)の中を1時間くらいかけて歩いた。中は懐中電灯があっても足元が危ないような場所だ。ここに600人以上の人々が閉じ込められて、ガソリンを流し込まれて焼かれたりなどして行った苦し…

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生きるということ

とまりゆく時間のなかでわれの息死に絶えるまで今を重ねる (しらいしまさこ) 「われの息死に絶えるまで今を重ねる」。厳然たる事実。その事実の観察をぽんと言葉に写生している。読んだ瞬間に、あ、やられた、と思った。今まで、考えもしなかった。生きるということは、そういうことなんだなと再確…

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吹きゆきし風に

吹きゆきし風に流されし雑踏の中  掌に捧げ持つ一掬いの呼吸 しらいし まさこさんの 呼吸せし人の流れの沈黙を雑踏のなか吹きゆきし風 への返歌。 冬の夕方、人々は襟を立てて家路を急ぐ。その雑踏の中に流れに逆らうようにふと一人佇んで空を見た。人はこんなに居るのに、一人ぼっちだった。 …

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バラはバラであって

歌流歳歳を開いたら、俵万智さんの歌が紹介されていた。 四百円にて吾のものとなりたるを知らん顔して咲くバラの花 (俵万智) その記事のタイトルが「ばらばらのばら」である。 こういう音の繰り返しを読むと、俵万智さんと時折比較される紀野恵さんの歌を思い出してしまう。(音で覚えているので…

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