フランツ・ドップラーについて
フランツ・ドップラー(1821-1883)は、ハンガリー=オーストリアの作曲家・指揮者・フルート奏者で、有名な「ハンガリー田園幻想曲」の作曲家として、フルート吹きでは知らぬ人がいない人です。18歳でブダペスト歌劇場の首席フルート奏者に就任した彼は、その後、ウィーン宮廷歌劇場1の首席フルート奏者に転じ、さらに首席指揮者の地位へと昇り詰めました。今でこそフルートの作品ばかりが取り上げられますが、当時はむしろオペラやバレエなどの舞台音楽2の作曲家として評価が高かったとのことです。また、リストの弟子でもあり、『ハンガリー狂詩曲』6曲をリストの指導のもとでオーケストラ用に編曲したことでも知られています。
カール・ドップラーについて
彼には、4歳年下の弟のカール・ドップラー(1825-1900)がいました。彼もフルートの名手3で、二人は「フルートのヴィルトゥオーソ兄弟」としてヨーロッパ中を席巻しました。この二人で吹くためのデュオを、フランツは410数曲残しています。「アンダンテとロンド op.25」は、その中でも代表作として知られています。
ドップラー兄弟デュオの変わった特徴
この兄弟デュオには一風変わった特徴がありました。それは、弟のカールが左利きで、通常とは逆向きのフルートを使っていたことです。ですので、二人がステージに上って演奏すると、それはあたかも鏡に写っているようで、息のあった超絶技巧の演奏をさらに引き立てていました。「見せる」演奏家でもあったわけですね。
その片鱗を伺わせる演奏がYoutubeにあったので紹介しましょう。
面白いでしょう?
ドップラー「アンダンテとロンド」の好きな演奏
ちなみに、私は演奏としては、ミシェル・デボスト5とオーレル・ニコレ6の演奏が好きです。いやー、うまいぞー。曲冒頭のニコレの入りとかしびれます。ぜひ聞いてみてください。
(2024年3月28日追記)
最近のおすすめは、デボストの弟子のパユとアドリアンの演奏です。まじでうまい。
おまけ:自分の演奏
最後に御愛嬌で自分の演奏を乗っけておきますね。2025年の5月に服部優子先生7のお宅を訪問したときに録ったものです。一発撮りなのでミスタッチとかいろいろありますが、お楽しみください。
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