お盆だから安保法案と憲法改正について考えてみた

永江氏の「なぜ安保法案の容認派はデモに不快感を覚えるのかということと、安保法案の代替案について」[1]という文を読んだ。

堀氏や堀江氏ら安保法案容認派がデモになぜ強い嫌悪感を抱くかということの永江氏による分析で、あたっている気がする。一読の価値ありだ。

一方で、永江氏は安保反対派への戦術的な提案としては、

1 国会へではなく、世界中の中国大使館に圧力をかける
(中国が暴挙を止めれば安保法案の必要性は激減)

2 火力発電止めて全部原子力発電でいくことを主張する
(エネルギー安全保障の観点[2]。)

の2点を上げている。

実際、「反対」するときには対案を出さないとねと思うので、この案には賛成だ。

あともう一つ私から推進派に注文。

憲法改正と正面から向き合うべきだと思う。憲法改正が大変そうだからって、違憲な法律をゴニョゴニョつくろうとするのは、立憲主義の否定であり、近代の否定、中世へ逆戻りだ。それよりは堂々と9条廃止するほうが比較にならないほどマシである。

自民党憲法改正草案[3]は笑っちゃうけど、だからといって現在の日本国憲法が良いとは僕もちっとも思っていない。

まずは日本国憲法第26条、27条、30条から、国民の義務規定を削除するところあたりから始めてみてはどうだろうか。憲法は国民が国家権力に対して命じるものであって、国民の義務なんぞが書いてあるのはそもそもおかしい。ところが、現行憲法では、

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

第二十七条 すべて国民は勤労の権利を有し、義務を負ふ。賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。児童は、これを酷使してはならない。

第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ

のように国民の義務を規定している。ちなみに、対応するGHQ草案には国民の義務は無い。現行憲法の26条、27条に対応するのはArticle XXIV (24条)だが、以下のようになっている。

GHQ草案

Article XXIV. In all spheres of life, laws shall be designed for the promotion and extension of social welfare, and of freedom, justice and democracy.Free, universal and compulsory education shall be established.The exploitation of children shall be prohibited.The public health shall be promoted.Social security shall be provided.Standards for working conditions, wages and hours shall be fixed.

(私訳)あらゆる生活面において、政府は社会福祉、自由および正義ならびに民主主義を向上するべく法律を制定しなければならない。政府は無料かつ普遍的な強制的教育を提供しなければならない。政府は児童の搾取を禁じなければならない。政府は公共衛生を推進しなければならない。政府は社会保障を提供しなければならない。政府は労働環境、賃金、労働時間の基準を定めなければならない。

教育と労働が一緒の条文になっているのはどうかと思うが、一貫して政府の義務を書いており、国民の義務は書いていないのは、まさにそうあるべきと言えよう。

なので、憲法26条、27条、30条をたとえば:

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。政府は無償かつ普遍的な強制的教育を提供しなければならない。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。[4]

第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有する。し、義務を負ふ。政府は、賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定めるを法律で定めなければならない。政府は、児童の搾取を禁ずる法律を制定しなければならないは、これを酷使してはならない

第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。(削除)

のように改正する案を出してみれるのが良いのではないかと思う。これくらいだったら、通るんでは無いですかねぇ。これで通ったら、憲法改正のやり方と前例ができるから、第9条も改正にトライすれば良いじゃないですか。

逆に野党と国民の皆様へ。第96条の憲法改正要件を緩めようというような変な主張を蹴散らすためにも、ちゃんとこれくらいは通さなきゃダメですよ。

[1] 永江一石『なぜ安保法案の容認派はデモに不快感を覚えるのかということと、安保法案の代替案について』 (2015/8/9)

[2] まぁ、全部は無理としても、依存率は下げられるので、ホルムズ海峡の武力による通行の維持は今ほど重要でなくなる。

[3] 自由民主党『日本国憲法改正草案』(2012/4/27)舛添要一「憲法の基本を知らない国会議員たち」他の言うように、憲法が根本的に分かってない。

[4] 義務教育を国民の義務として書かなければ、学校に行かせない親や行かないこどもが出るではないかという人が出てくると思うので先手をとって。そんなのは、普通の法律に書けば良いことであって、憲法に書くことじゃないです。

※ アイキャッチ画像は、はてなココ氏の作品です。CC3.0-BYで提供されています。元画像のリンクはこちらです:http://free-illustrations.gatag.net/2014/01/01/120000.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください