社会保障って何でしょうか?
私の考える社会保障というのは、何かハンデを追ってしまった人を、そうでない人が支える社会です。保険の基本的な考え方ですね。
さて、日本はこれから未曾有の高齢化社会を迎えます。そして、年金がやら社会保障が大変なことになるといわれます。内閣府によれば、「現役世代1.3人で1人の高齢者を支える社会の到来」[1]と言うことになり、「大変だ〜大変だ〜」ということになります。
でもね、ここで言う高齢者というのは、65歳以上の人のことなんです。昔の65際はヨボヨボだったかもしれませんが、今の70歳とか元気ですよぉ。旅行もバンバン楽しむし、もちろん働けるはず。働ける老人を働かせないで若い人が支えるというのは、取りも直さず「老人貴族化政策」であると言って良いでしょう。それは、明らかにおかしい。
そう、察しの良い読者の方々は既にお気づきだと思いますが、今いわれている危機は、本来「元気なものがそうでないものを支える」というのの「元気なもの」に「若いもの」、「そうでないもの」に「老人」を代入したことによる間違いだと思うのですよ。極端に言えば、「元気でない老人」は「元気な老人」が支えれば良い。そう考えると、この表1-1-6[2]などは根本的に考えなおす必要が出てくる。各年代ごとの「元気じゃない人比率」をはじいて表にしなければならない。
そして、そうであれば、やることは:
- 老人が働きやすい環境を作って、生涯現役社会を実現する。
- 健康管理を徹底して、ピンピンコロリができるだけ多くなるように持っていく。
ということになります。
老人が働きやすい環境って、例えば、レジ打ちは座ってやる、みたいな社会ですよ。あんなもの、立ってやる理由は全然ない。ヨーロッパなどでは当然のように座ってやってますよね。あと、ITの活用。老人になるとどうしても目や耳は悪くなるので紙は正直読みにくくなるなどするけど、それはITで補えるわけです。そういう意味では、ジェロンテクノロジーとかにはもっと注目すべきだと思います。梅室先生[3]、出番でっせ。
さらに、健康管理を徹底して…ということに関しては、ビッグデータの活用が叫ばれているわけです。あのね。ビッグデータというと、すぐにマーケティング方面の話が出てくるけど、あれ、単なるCRMだから。ビッグデータが要る例ってどんだけあるんだっていう感じ[4]なわけですが、例えばアルツハイマーのコントロール[5]なんかにはビッグデータが非常に期待されているわけです。この辺りに関しては、OECDのシンポジウムが東京で9月にあるはずなので注目です。
というわけで、結論。
日本が目指すべきは、
「元気な高齢者が元気じゃない高齢者を支える社会」
だと思うぞっ!
[1] 内閣府 平成25年版 高齢社会白書(全体版)
[2] 内閣府 平成23年版 高齢社会白書(全体版)
[3] 国際ジェロンテクノロジー学会日本支部 世話人代表 東京工業大学 梅室 博行 准教授
[4] 事例絶賛募集中
[5] 現在アルツハイマーを治すことはできないが、生活習慣などを見直すことによって遅らすことはできるとされる。そのため、ライフログデータからリスクの高い集団を抽出して生活指導をすることは、将来の社会的損失(本人が働けなくなり、家族が介護のために生産活動ため、大変な損失になる)の防止のために非常に重要であるとされる。
(イラスト出典)老人会のイラスト(挿絵)無料イラスト
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