SIMのキーが気付かれずに大量にNSAとGCHQに持って行かれていた

The Intercept が現地時間2015/2/19に報じた[1]ところによると、NSAとGCHQによって、Gemealtoから出荷されたSIMに保存されている鍵(Ki)が大量に強奪されていたとのことです。その結果、これらのSIMを使った携帯電話の通信を盗聴するのは、何でもなくなっていたと。Snordenさんが持ちだしたファイルの中にこの情報が入っていたとのことです。

携帯電話に入っているSIMカードは、Gemaltoのような「パーソナライゼーション会社」によってAuthentication Key (Ki)が焼きこまれます。このAuthentication Keyは、SIMをネットワーク上で認証するのと、暗号鍵を生成するのに使われます。この鍵は生成された後、SIMカードに記録され、取り出せないようになります。ですが、このSIMカードをネットワーク上で認証するためには、同じ鍵を携帯電話会社も持たなければならないので、携帯電話会社にも送られます。問題があったのは、この送り方ですね。SIMカードは大量にパーソナライズされて電話会社に届けられます。その時、書き込んだAuthentication Keyを大量にまとめてFTPないしはemailで送っていたとのことです。しかも、弱い暗号しか使わず、場合によっては平文で。

GCHQとNSAはGemaltoの従業員のメールからGemaltoの社内ネットワークに入り込んで、誰がこの重要な仕事をしているのかを見つけ出し、その人の通信を傍受して、その中からキーの大量送信ファイルを取り出していたようです。

わたし、この分野には疎くて、まさかこんなことになっているとは知りませんでした。当然チップ内でキーペアを生成させて、そのPublic Keyをキャリアに送っているんだとばかり思っていました。共通鍵でやっていたとは…。

昨日、Real World Crypto 報告会に行っていたのですが、そこで「暗号プリミティブをクラックするより、その他の場所をクラックしたほうが全然簡単だから、暗号プリミティブ自体が弱いとかあんまり関係ない」という意見がフロアから出ていましたが、正にそれを地で行ったわけですね。

教訓

  • (1) 長期秘密鍵を送信するのはやめよう(郵送もダメよ)
  • (2) 秘密鍵を2人以上が長期にわたって保有するのはやめよう
  • (3) 鍵管理はちゃんとやろう

かな。

[1] https://firstlook.org/theintercept/2015/02/19/great-sim-heist/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください