国際規格開発賞 ISO/IEC 29184

ISO/IEC 29184: Online privacy notices and consent で国際規格開発賞を頂きました

ISO/IEC 29184:2020 Information technology — Online privacy notices and consent (オンラインにおけるプライバシーに関する通知及び同意1)の国際エディタ(Project Leader)として、国際規格開発賞をいただきました。これはもともとは、経済産業省の「通知と同意のガイドライン」をISO/IEC JTC1に持ち込みフランスの当局のCNILなどからも多くの指摘を取り入れ国際標準にしたもので、プライバシーの透明性の確保にあたって大きな価値を持つものであると考えています。

なぜ今、プライバシーの透明性が重要なのか

私たちの生活は、かつてないほどデジタル化が進んでいます。家庭のブロードバンンド接続やインターネットが当たり前になり、スマートフォンやスマートウォッチなどのデバイスが日常的に私たちの行動データを収集している現代。そして、これらの膨大なデータを処理する技術も飛躍的に向上しています。

この技術革新は確かに素晴らしいものをもたらしました。より便利な生活、革新的なビジネスチャンス、魅力的なサービス、そして私たちにとって価値のある体験。しかし、同時に新たな課題も生まれています。

消費者の「プライバシー意識」の高まり

今、消費者はかつてないほど「プライバシー」に敏感になっています。オンラインサービスが個人の情報をどのように収集し、使用しているのか、多くの人が疑問を持つようになりました。

この疑問や不安の根本的な原因は何でしょうか?それは「説明不足」です。多くの企業が、収集した個人情報をどのように処理し、保存し、管理しているかについて、十分に分かりやすく説明していないのが現状です。

企業に求められる2つの重要な取り組み

この状況を改善するために、企業には主に2つのことが求められています:

1. 分かりやすい情報提供

個人情報を収集する際は、明確で理解しやすい方法でその使用目的や処理方法を説明する必要があります。専門用語を並べた複雑な利用規約ではなく、一般の人が読んで理解できる内容にすることが重要です。

2. 適切な同意の取得

個人情報の利用について、利用者から公正で透明性のある方法で同意を得る必要があります。そして重要なのは、この同意はいつでも撤回できるものでなければならないということです。

プライバシー保護の基本原則

これらの取り組みは、国際標準であるISO/IEC 29100で定められた11の原則の内、以下の2つの原則に基づいています:

  • 原則1:同意と選択 – 個人が自分の情報の使われ方について選択できること
  • 原則7:開放性、透明性及び通知 – 企業が情報の取り扱いについて開示すること

すべてのオンライン事業者に適用される基準

この基準は、個人情報を扱うすべてのオンライン事業者に適用されます。大企業だけでなく、小さなWebサービスを運営する会社や、従業員の個人情報を管理する企業すべてが対象となります。

まとめ:信頼される企業であるために

デジタル技術の恩恵を受けながら、同時に個人のプライバシーを守る。これは現代の企業にとって避けて通れない課題です。しかし、適切な透明性を保ち、利用者の同意を正しく得ることで、企業は消費者からの信頼を獲得し、持続可能なビジネスを構築することができるのです。

プライバシー保護は単なる規制対応ではなく、企業の競争力そのものと言えるでしょう。今こそ、あなたの会社のプライバシー対応を見直してみませんか?

脚注

  1. JIS X 9252 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+X+9252%3A2023

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