イー・ウーマン円卓会議「国民の番号制度導入に、賛成ですか?」

イー・ウーマンの円卓会議がはじまった。→ ココ

この誘導尋問良くないなぁ。

そもそもこのようなものは、賛成派・反対派双方の意見を公平に述べた上で決を取らなければ意味が無いのだが、ここでは賛成派の意見だけを一方的に述べて投票を募っている。

しょうがないので、私が反対派を演じてみよう。

(ディベートをご存じの方はもちろんご承知だろうが、ディベートでの議論は自分の信念とは関係なく、与えられた立場での主張なので、その点お間違えなく。)

番号制度というのは、国民一人一人に生涯変わらぬ番号を付して、社会保障や税制面で活用しようというものです。

われわれが将来について見通す力は限られている。ひょっとすると、変えなければならないような事態が生じるかもしれない。その時に、「生涯変わらぬ番号」という前提で制度設計をすると致命的な事態に陥る。制度設計をするときには、変えられることを前提につくるべきである。実際、番号では先輩であるインターネットでは、当初はMAC Address という「変わらないはず」の番号からスタートして、IP Address という変わること前提のものを使うようになり、さらにドメイン名を利用するように変化してきている。この経験に習わないのはかなり残念なことだ。

第1に、社会保障分野での給付を正確に行うためです。社会保障の負担と給付(介護保険料、国民年金保険料、高齢者医療自己負担額や保育所の保育料など)については、さまざまな所得制限が課せられていますが、その所得が正確なものかどうか正確かつ効率的にチェックができるようになるということです。欧米では、このような情報交換は当たり前のように行われています。

これは本当か?給付に関しては、所得の申告時に給付の申告も行うようにすれば、そもそも番号など要らないのではないか?たとえば、米国では確定申告書で保障の申告も行うようになっていると聞いている。ワークフローで解決すべき問題を番号の問題と混同してはいないか?それに、そもそも欧米ではというが、米国では社会保障番号の一般的な利用は、多くのなりすまし被害を呼んだために厳しく制限される方向にあるのをご存知か?

第2に、税制と社会保障をまたがるような新たな制度を構築することが可能になります。
その代表例が、給付付き税額控除です。かつて円卓会議でも取り上げたことがありますが、給付付き税額控除というのは、社会保障制度と税制を整理統合して、一体的・効率的に運営する制度で、一定時間就労する中低所得世帯に対して減税(税額控除)や給付を与え、勤労に向けてのインセンティブを供与しながら、貧困対策にも役立つという制度です。

これも申告時に行えば良い話で、番号とは関係ない話ではないか?とくに、ベーシックインカム制度のようにしたら、全く関係ないのではないか?

第3に、正確な所得を補足するための税務における番号制度の導入です。現在民主党では、税務署に提出する所得情報の拡充の議論が始まっています。
他方で問題もあります。最大の課題は、プライバシーの問題です。賛否の最も分かれる点で、ネット社会の中で生じる漠然とした不安感のようなものとをどう折り合いをつけるかという問題です。これに対しては、具体的にどのようなプライバシーの問題が生じるのか、それに対して、どのような対策を講じれば不安感が軽減されるのか、つめた議論をしていくことが必要です。

一般の方で収入と所得の区別がつく方は意外と少ないので誤解されるかたも多いと思うが、そもそも番号を振っても所得の把握は出来ない。経費の把握ができないし、自家消費のようなものの把握も出来ないからだ。あるいは、韓国のように物を買うときにいちいち自分の「番号」を申請するのか?また、金融所得を把握すると称して金融機関で番号を使うことを強制すると、民間側でも莫大なシステム投資が必要となり、それは様々なものの値上げとなって現れてくる。

上記のように、ここで述べられたメリットを享受するために番号を導入は必要ないし、番号導入にかかる莫大な費用は無駄になる可能性が高い。

さらに、このような番号を導入すると、あちこちでその入力を求められるようになり、勝手に名寄せされてあなたの行動が追跡されるようになり、プライバシーが侵害されるようになります。

また、米国や韓国で実際に起きてきたように、犯罪者があなたになりすまして、あなたに被害を及ぼすようになります。たとえば、あなたが犯罪者に仕立て上げられ、社会的信用を失うなどです。

そのような状況でも、あなたは番号導入に賛成ですか?(笑

こんなふうに聞いてから投票したらどんな結果になるんでしょうね?

以上、反対派を演じてみました。

ちなみに、個人的には、現在のところ:

・制度・システムは可変前提の番号/コードを利用するように設計する
・個別の制度内でまずはメリットが取れるようにしてすぐに開始する
・番号/コードは認証には使えないことを意識する。そのために、個別の
 番号/コードは個別の制度にしか使えないように規制する。

等々の前提のもとで番号はふれば良いと思うけど、それはまた別途。

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