金融検査庁を設立せよ!

昨年の10月からの「今週の大型倒産」に慌てふためいた政府は、ポリシーもへったくれもなく、減税を決めた。ポリシーなくというのは、昨年の4月に10兆円大増税をしておきながら、1年もたたずに減税をする朝令暮改を言っている。しかしまぁ、誤りを認めたのはよしとしよう。問題は、「Too Little, Too Late (少なすぎ、遅すぎ)」であると同時に、いささか的外れであることであろう。

政府としては、今回の二兆円減税を始めとして、来年度予算の前倒し消化と大型補正予算による景気梃子入れによって、今回の危機を乗り越えようというのであろうが、そううまく行くかどうか。建設業は何とか息をつくかもしれないが、それも一時的であろうし、金融機関にとっては、本質的な解決には程遠い。

4大証券の一つである山一證券は「債務超過ではない」といいつつも潰れた。本当に「債務超過ではない」のならば、あれだけの看板と営業資産を持つのであるから、潰れずに、どこかの資本が入るなりして存続する方が自然だ。にもかかわらず、潰れざるをえなかったのは、「債務超過ではない」ことを、ほとんど誰も信じなかったからであろう。まぁ、2千億円以上の簿外債務を何年も隠し持っていたのだから無理もない。実はここに本来の問題が隠されている。信用を売ることが商売のはずの金融機関を、みなが信用できなくなっているという問題だ。金融機関ですらそうだから、他の業種は増してをやである。現在の不況は、信用収縮による不況なのである。この状態で2兆円減税や従来型の公共投資をやったところで、いわば肺炎の患者に解熱剤だけを投与するようなもので、対症療法以外の何物でもない。直すのではなく、当面の苦痛を和らげるだけで、病状は更に進行するであろう。

現在の状況に対する正しい処方箋は、失われた信用を取り戻してやることである。そのためには2兆円減税の財源で、金融検査庁を設立してやるのが一番良いと考えている。もちろん、検査官になるのは、大蔵省の役人ではない。どんどん民間から公認会計士やらアナリストやらを登用して布陣をひく。年間予算2兆円ならば、2万人程度は雇えるだろう。これをまず、銀行なら東京三菱銀行、証券なら野村證券の徹底検査に投入する。これだけの人数を投入すれば、大して日を置かずに検査は終了してしまうであろう。もちろん、今まで表に出ていなかった病巣が表面化するであろうが、膿は出してしまえばよいのである。こうしてトップ企業から順番に「あがり」の状態に持っていってしまう。「あがり」の企業は、もはや信用低下による業務不振とは無縁になるのである。(もちろん、業績が回復するかどうかは、経営次第であるが。)

今、政府がするべきは、省庁の数合わせでもなく減税でもない。もはや自律的信用回復が不能になった日本企業に対する、本質的意味での信用供与なのである。

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