デジタル庁:  属性証明の課題整理に関する有識者会議(第1回)

デジタル庁:  属性証明の課題整理に関する有識者会議(第1回)

ちょっと旧聞になりますが、去る10月23日に開催されたデジタル庁の「属性証明の課題整理に関する有識者会議」の第1回に委員としてリモート参加しました。秋の巡業シーズンなので…。が、Microsoft Teams のせいか、はたまたマイクのせいか、聞き取れたのは2/3程度で、裏でやはりリモートだった松尾教授と「つらい…」とチャットしながらの参加でした。(開始は、やはりリモートの富士榮委員がなかなか入れず、松尾教授は結局Webから入れずiPhoneからの参加。MS Teams 本当に辛い…)。なので、わたくしも議事録が出てくるのを心待ちにしているところです。

資料は上記ページに公開されています。委員は以下の通り。

委員(敬称略)
⚫ 板倉 陽一郎 (ひかり総合法律事務所 パートナー弁護士)
⚫ 笠井 玲子 (株式会社ローソン インキュベーションカンパニー デジタルソリューション推進部 シニアマネジャー)
⚫ 國領 二郎 (慶應義塾大学 名誉教授)
⚫ 﨑村 夏彦 (NATコンサルティング合同会社 代表社員)
⚫ 瀧 俊雄 (株式会社マネーフォワード 執行役員グループCoPA マネーフォワード総合研究所長)
⚫ 中村 素典 (京都大学 情報環境機構 IT基盤センター長・教授)
⚫ 富士榮 尚寛 (一般社団法人OpenIDファウンデーションジャパン代表理事)
⚫ 松尾 真一郎 (ジョージタウン大学研究教授およびバージニア工科大学研究教授)
⚫ 松本 泰 (特定非営利活動法人 日本ネットワークセキュリティ協会フェロー)
⚫ 横田 明美 (明治大学 法学部 専任教授)
⚫ 若江 雅子 (朝日新聞東京本社 編集委員)

なんか、NATコンサルティング合同会社の肩書にするか、米OpenIDファウンデーション理事長の肩書にするか、はたまたMyData Japan の肩書にするか迷いましたが、一番気軽に発言できる帽子で今回は登録しています。

この有識者会議は昨年度まで行われていた、DIWアドバイザリーボード(非公開。ただし、報告書こちらから参照していただけます)と、Verifiable Credential (VC/VDC) の活用におけるガバナンスに関する有識者会議とを合体して、公開会議(これはDIWアドバイザリーボードの委員から強く希望があった)としたものです。

そういうわけで、詳細は議事録に譲りますが、私が気になった論点としては

  • 派生証明書(Derived Credential)をもっと議論すべきではないか(EUの(Q)EAA相当のもの。多分主に使われるのはこちら。年齢確認VCなど。)。
  • 「リスクの低いユースケース(軽量ユースケース)」から社会実装を進めるべき。
  • ガイドラインだけでは普及に限界。調達要件や標準仕様への反映を検討。
  • 独禁法や公正競争の配慮も不可欠。プラットフォームへの集中も要注意
  • 消費者保護・プライバシー確保の法的裏付けが必要。消費者保護・プライバシー確保の法的裏付けが必要。
  • Verifierの参入リスクや不正利用を防ぐため、認証制度や法的担保が必要。(わたしも、ウォレットプロバイダーは事実上情報銀行であり、情報銀行認定制度の経験(要求情報の可視化・同意UI・認定基準)を参考にすべきと発言しました。)
  • 民間発行のVCの行政機関側の受け入れ体制・法整備(条例・省令改正含む)を視野に。

などがあります。最後に、楠統括官から、

  • 紙をなくすことは目的ではなく必然。デジタルファーストを実現する仕組みが必要。
  • AIエージェントによる自動手続きが進む中で、VCが“人とAIの間の信頼”を担保する基盤になる。
  • 今年度はまず“実現可能なユースケース”から具体的成果を出す。
  • 次回以降は技術WGでリスク別要件を詰め、年度内に指針案をまとめる。

という旨の力強いお言葉を頂いて会議は終了しました。

議事録が待ち遠しいですね。

それではまた! (IETF 124 モントリオール会場のホテルより)

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