去る7月30日に、1998年以来初めて米国上院が子供たちをオンラインで守る法律を通過させました。1998年といえば、まだソーシャルネットワークもなく、現在の13歳以下の子供が生まれるはるか以前のことです。
この「子供オンライン安全法案」(Kids Online Safety Act, KOSA) は、ソーシャルメディア、ゲームサイト、その他のオンラインプラットフォームのもたらす害悪から子供たちを守ることを目的としており、上院では圧倒的な支持で可決されましたが、下院での運命は不確実です。バイデン大統領は、法案が通過すれば署名すると示唆しています。
法案は、オンラインプラットフォームが子供たちに危害を与えないよう、「注意義務 (Duty of Care)」を課すものです。「注意義務」とは企業が害を防ぐために合理的な措置を講じることを求める法的用語です。ここでの配慮義務には、いじめ、自殺の誘発、摂食障害、薬物乱用、性的搾取、違法商品の広告から子供たちを守るための措置を含みます。また、未成年者の情報保護、依存性のある機能の無効化、個別化アルゴリズムの無効化、他のユーザーとのコミュニケーション制限なども求めています。
法案は幅広い団体から支持されており、特に親のグループや子供の擁護団体、技術企業などが賛同していますが、ACLUやElectronic Frontier Foundation(EFF)などは、法案が憲法修正第1条を侵害する可能性があるとして反対しています。
ACLUやEFFは、この法案が憲法修正第1条に違反すると懸念しています。EFFは、州の司法長官がKOSAの「注意義務」条項を執行することで、オンラインコンテンツやサービスを狙い撃ちし、検閲する可能性があると述べています。また、法案の「配慮義務」条項が政治的に動機付けられた人物によって悪用され、LGBTQコミュニティやその他の周辺化されたコミュニティを狙い撃ちする可能性があると懸念しています。
NetChoiceという技術業界団体もこの法案に反対しており、彼らのメンバーにはMeta、Google、Xなどが含まれています。この反対の理由は、法案が基本的な憲法原則に違反し、親の権利を奪い、子供のオンライン安全性を改善しないと考えているためです。
下院議長のマイク・ジョンソン氏は、法案がいつ審議されるかについては明言していませんが、コンセンサスを模索すると述べています。法案が1月までに通過すれば、バイデン大統領が署名する見込みです。
以下の動画には、このブログに書いたことの一部や、法案の経緯などがまとまっていますので、併せてご覧いただければ幸いです。
参考資料: