一橋大学の生貝教授のXのポストでおもしろそうな論文が取り上げられていました。
https://twitter.com/ikegai/status/1813602566279950338
紹介している論文は次の論文です。
Alexandra Giannopoulou, Jef Ausloos, Sylvie Delacroix, Heleen Janssen, Intermediating data rights exercises: the role of legal mandates, International Data Privacy Law, Volume 12, Issue 4, November 2022, Pages 316–331, https://doi.org/10.1093/idpl/ipac017
昨年のIGFでTrusted Data Intermediary を取り上げましたが、関係するトピックだと思いました。主なポイントは以下のようです。
主なポイント
はじめに
- 急速な技術的・経済的発展により、情報と権力の非対称性が生じている。
- データ権利は、これらの非対称性を緩和するための解放的な法的ツールである。
データ権利とその重要性
- データ権利の重要性が増し、これらがエンパワーメントの手段として登場している。
- GDPRの第III章はデータ主体の権利に関する主要な法的ソースである。
- データ権利には、アクセス、訂正、抹消、ポータビリティ、異議、および自動化された意思決定に対する保護が含まれる。
データ権利仲介者(DRIs)
- DRIsは、データ権利の集団的行使を促進または仲介する役割を果たす。
- データ主体の基本的、不可譲の性質を損なうことなく、データ権利はDRIsに委任できる。
- 委任により、DRIsはさまざまな文脈でデータ主体を代理して行動することが可能になる。
データ権利の委任に関する法的枠組み
- GDPRやデータガバナンス法におけるデータ権利の委任についての不明確な点が存在。
- 委任は契約に類似し、契約法の原則と信託義務に従う必要がある。
信託義務と規制の重要性
- 信託義務がDRIの操作の枠組みを提供する可能性がある。
- 委任は明確、具体的であり、制度的な監視と結びついている必要がある。
システムの透明性とコンプライアンス問題の影響
- システム的な問題は、公正で効果的なデータ権利の行使を妨げている。
- DRIsは、データ主体が直面する技術的、法的、財政的な障壁を克服するのに役立つ。
- データ権利の集団的行使は、システム的な不正を打ち負かす可能性を持っている。
結論
- DRIsにデータ権利を委任することは、データ駆動の社会的不正を解決する上で重要な一手となりえる。
- 効果的で説明責任のあるDRIsを確保するための頑強な法的および制度的枠組みが必要である。
解説動画: OECDなどにみる個人データ権利仲介者の重要性と法的特性〜あなたは自分のデータの権利をどう使いますか?
これについて、NoLangで解説動画を作りました。ご覧いただけると幸いです。
OECDなどにみる個人データ権利仲介者の重要性と法的特性〜あなたは自分のデータの権利をどう使いますか?
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