わたしも構成員であった総務省プラットフォームに関する研究会での検討を受けて、この3月に国会に提出された改正「プロバイダ責任制限法」1改め「情プラ法」2が、木村花さんの4回目の命日(5月23日)を前に、5月10日、国会で成立しました。法律名が変更されたのは「これまでの投稿の発信者情報の開示等にとどまらない内容となったため」3です。
法案、その他の関係資料は以下のとおりです4。
令和6年3月1日 | 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案 | 概要【325 KB】 要綱【97 KB】 法律案・理由【160 KB】 新旧対照条文【254 KB】 参照条文【310 KB】 (所管課室名) 総合通信基盤局電気通信事業部利用環境課 |
この改正は、近年のSNS等での権利侵害情報の流通による被害の増加を受け、プラットフォーム事業者の責任を強化し、被害者の保護を図ることを目的としています。大規模プラットフォーム事業者には削除等の義務が課され、違反には罰則が科されることになりました。
主な改正点は以下の通りです:
- 法律の題名と通称名が変更された。新しい題名は上記の通りで、通称名は「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」となった。
- 第5章として「大規模特定電気通信役務提供者の義務」が新設された。これにより、一定規模以上のプラットフォーム事業者に対し、権利侵害情報の流通防止措置等の義務が課されることになった。
- 第6章として「罰則」が新設された。義務に違反した場合の罰則規定が設けられた。
- 条文数が従来の19条から38条へと倍増した。
総務省プラットフォームに関する研究会について
総務省プラットフォームに関する研究会は平成30年(2018年)10月18日から足掛け6年、全52回にわたって開催されてきた研究会です。令和2年2月に最終報告書を出し、一旦は終了したはずだったのですが、木村花さんの誹謗中傷と自殺事件を受け、緊急再招集され、以後、言論の自由を含め様々座な角度から検討を進めてきました。その経緯は、プラットフォームに関する研究会の概要ページにある議事概要や以下のような文書から見ていただけると思います。
- インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方についての意見募集(令和2年7月3日)
- インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方に関する緊急提言及び意見募集の結果の公表
- 中間とりまとめ(案)についての意見募集に関する報道発表(令和3年7月16日)
- 中間とりまとめ(案)についての意見募集の結果及び中間とりまとめの公表に関する報道発表(令和3年9月15日)
- 第二次とりまとめ(案)についての意見募集に関する報道発表(令和4年7月4日)
- 第二次とりまとめ(案)についての意見募集の結果及び第二次とりまとめの公表に関する報道発表(令和4年8月25日)
- 第三次とりまとめ(案)についての意見募集に関する報道発表(令和5年12月13日)
- 第三次とりまとめ(案)についての意見募集の結果及び第三次とりまとめの公表に関する報道発表(令和6年2月2日)
そして、本年、第52回(令和6年1月31日)をもって最終回となり、第三次とりまとめを発表し、クローズいたしました。今次法改正は、この第三次とりまとめがベースとなっています。
この間、総務省および事務局の方々には困難な議論を取りまとめていただき、法改正にまでつなげていただけたことに本当に感謝しております。また、微力ながらわたくしも本件に貢献できたことをとても嬉しく思っております。