この資料は「学認システムと学割サービスの連携について」という題目で、ビッグローブ株式会社と日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)による2016年の発表資料です。学認システムを利用した学割サービスの実現と、それを支えるトラストフレームワークプロバイダの役割について説明しています。
はじめに
大学生の皆さんは学割サービスを利用する際、学生証のコピーや証明書の準備に苦労した経験はありませんか?また大学職員の方々も、学生への証明書発行業務に多くの時間を費やしているのではないでしょうか。ビッグローブ株式会社と日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は、この課題を解決するため「学認システムと連携した学割サービス」の実現に向けた取り組みを進めています。
現状の課題
学生側の課題
現状において、学生側は以下のような課題を抱えています。
- サービス提供者ごとに異なる学割証明方法への対応
- 紙ベースなど煩雑な申請手続き
- 学割対応サービスの探索の困難さ
- 個人情報提供への不安
大学側の課題
課題を抱えているのは学生側だけではありません。大学側も以下のような課題を抱えています。
- 学生への確証発行にかかる事務コストの負担
- 海外サービスへの対応の複雑さ
- 学生に推奨すべき学割サービスの判断
こうした課題に答えるのが学認連携による学割サービスなのです。
学認連携による学割サービスの新たな形
従来の学割サービス利用プロセス
従来の学割サービスでは以下のようなステップを踏んでいました。
- 証明書の入手や学生証のコピーなど確証の準備(手作業なので時間がかかるし不便)
- サービス提供者への確証の送付(郵送であったり持参であったりと時間がかかる)
- サービス提供者による確証の確認(確認は手作業なので時間が掛かるし、そもそもどうやって確認するかの問題が起きる)
- 学割対応サービスの利用(やっと…)
これはいかにも面倒です。
学認連携の新しいプロセス
これに対して学認連携の新しいプロセスでは以下のように簡便化・高速化されます。
- 学割対応サービスへのオンラインアクセス
- 学認IDによる認証
- 学割対応サービスの利用
リアルタイムにあっという間に確認作業が終了して、サービスにアクセスできるようになります。
新システムのメリット
学生にとってのメリット
学生にとってのメリットは大きいです。以下のようなものがあります。
- サービス提供者ごとの確証送付が不要に
- 確証準備の時間短縮
- より多くの学割サービスへの簡単なアクセス
大学にとってのメリット
大学にとっても以下のようなメリットがあります。
- 学生への確証発行事務コストの削減
- 学生の属性情報が外部に渡らずに学生身分を証明
トラストフレームワークプロバイダ(TFP)の役割
安心してサービスを利用するためには、参加する企業やサービスの信頼性確保が重要です。そこでJIPDECがトラストフレームワークプロバイダとして、以下の役割を担います:
- 学認加入大学と学割サービス提供者(RP)を同じ枠組み(フレームワーク)に入れるサポート
- 参加企業に遵守してもらうポリシーの策定
- サービスや連携データの安全性確保
ID連携トラストフレームワークとは
インターネット上で利用者のデータやサービスの受け渡しを行う企業群が共通のルールを遵守することで、「利用者がその企業群を信用して情報利用を任せられる」状態を保証する枠組みです。
主な特徴
- 透明性の確保
- 情報保護の徹底
- セキュリティ基準の標準化
利用者へのメリット
- 管理するIDとパスワードの削減によるセキュリティ向上
- 身元確認の手間軽減
- 情報提供先の透明性向上
- 事業者のセキュリティレベルの可視化
事業者へのメリット
- 認証情報管理の負担軽減
- 利用者増加の期待
- 利用者の利便性向上
- 不必要な個人情報収集の排除
実現への道筋
フレームワーク構築のステップ
フレームワーク構築のステップには以下のようなものがあります。
- 参加企業に遵守してもらいたいルールの策定
- 共通の利用規約の作成
- 参加企業を募集
統一されたルールの重要性
サービス提供企業がお客様に対して約束するルールを統一し、データの利用方法やセキュリティの基準を標準化することで、利用者の信頼を獲得することも重要です。
まとめ
学認システムと連携した学割サービスは、学生と大学双方の負担を大幅に軽減する画期的な取り組みです。トラストフレームワークにより安全性と信頼性を確保しながら、より便利な学生生活を実現します。
この取り組みは単なる学割サービスの効率化だけでなく、今後の日本社会におけるデジタル化推進の一環としても注目されています。マイナンバーカードや電子母子手帳など、政府も徐々に電子化を進めており、この学認連携の取り組みはその先駆けとなるでしょう。
興味を持たれた大学関係者の方は、ビッグローブ株式会社までお問い合わせください。
このブログ記事は2016年10月17日のビッグローブ株式会社と日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)による学認CAMP発表資料を基に作成しています。
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