年末のご挨拶: フォーレ『楽園にて〜レクイエム op.48より』ーAndrew Nashを偲んで

恒例の年末のご挨拶です。今年は『リリウム』をやろうと思って準備を始めていたのですが、盟友Andrew Nashの訃報に接し、急遽(といっても3ヶ月前ですが)、フォーレのレクイエムの終曲『楽園にて』に切り替えました。この演奏は、アンドリューのため、そして彼らが残した仕事を通じて生き続けるすべての人々のために、追悼、感謝、そして静かな希望とともに捧げられます。

フォーレ: レクイエム終曲「楽園にて」について

ガブリエル・フォーレの レクイエム 作品48の特徴的な点の一つは、最後にIn Paradisum(楽園にて) を含めていることです。

これは伝統的なレクイエム・ミサの一部ではなく、埋葬儀式に属するもので、遺体が教会から運び出される際に歌われます。フォーレは、Dies Irae (怒りの日) を中心とした設定でしばしば強調される恐怖と裁きを避けるため、意図的にこのような形でレクイエムを締めくくることを選びました。その代わりに、彼は死を穏やかな移行と解放として描き、恐怖ではなく、光、慰め、そして静かな希望で終わらせました。In Paradisum を最終楽章として配置することで、フォーレはレクイエムを、平安、安息、そして楽園へと導かれることへの期待を込めた別れへと変容させたのです。

In Paradisum — 歌詞と翻訳

ラテン語日本語訳
In paradisum deducant te angeli,
in tuo adventu suscipiant te martyres,
et perducant te in civitatem sanctam Jerusalem.
Chorus angelorum te suscipiat,
et cum Lazaro quondam paupere
aeternam habeas requiem.
楽園へと、天使たちがあなたを導きますように
あなたの到来に際し、殉教者たちがあなたを迎え
聖なる都エルサレムへとあなたを導きますように。
天使の合唱隊があなたを迎えますように、
そしてかつて貧しかったラザロとともに
永遠の安息を得られますように。




Andrew Nashについて

このビデオは、3ヶ月前に亡くなった アンドリュー・ナッシュ の追悼の意を込めて制作されました。 アンドリューは卓越したアイデンティティ専門家であり、かけがえのない友人でした。私は Kantara InitiativesOpenID Foundation で彼と一緒に働く特権に恵まれました。そこでの彼のグローバルなデジタルアイデンティティ・エコシステムへの影響は、深く永続的なものでした。

彼は米国政府などから昨今注目されているShared Signals Frameworkの創生の立役者(2013年のホワイトペーパー1の著者)であり、ビジョン、技術的厳密性、そして実際に機能するものについての稀有な感覚を結集させました。 より一般的には、『PKI eセキュリティの実装と管理 (RSA press)』の著者としての方が馴染みがあるかもしれませんが。

より個人的な話として、私はかつてアンドリューをOpenID Summit Tokyo 2011の基調講演者として招待しました。2013年には、結婚前の彼の妻パム・ディングルが私の日本の自宅を訪れました。長年にわたり、私もRSAブートストラップパーティーやその他の集まりの際に、パムとアンドリューの家を何度も訪問し、多くのIdentirati仲間とともに、床板の下に私のサインを残しました。住宅改修プロジェクトの際、アンドリューは改修のために建てた工房で、いつかピアノを作りたいと私に話していました。それは彼が実現する機会を得られなかった夢でしたが、彼の創造性と音楽への愛を今も鮮明に映し出すものです。

映像について

この映像で使用されたすべてのビデオクリップは、私自身が撮影したものです。それらは In Paradisum の精神と深く共鳴する聖なる場所と歴史的な場所を特徴としています:

  • サグラダ・ファミリア、バルセロナ
  • グラスゴー大聖堂、スコットランド
  • サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂、スペイン
  • トレド大聖堂(サンタ・マリア首位大司教座聖堂)、スペイン
  • 王立貴族令嬢学院チャペル、トレド、スペイン

音声について

フルートは崎村夏彦、ピアノ+マリンバは、崎村淳子、 合唱とオーケストラのトラックも私が制作しました。

脚注

  1. OIXが無くなってしまってネット上から消えている…。手元にはコピーがあるけれども…。

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