OECD: Enhancing Access to and Sharing of Data in the Age of Artifical Intelligence

OECD: AI時代におけるデータのアクセスおよび共有の促進

ちょっと旧聞になりますが、去る2月5日に、OECDから面白い文書が出ています。1

以下はその内容を大まかにまとめたものです。詳しくは原文を御覧ください。

概要

  • OECDのデータへのアクセスと共有の強化に関する勧告(EASD)は、権利保護を確保しながらデータの利益を最大化するための枠組みを提供します。
  • 経済的、社会的、法的考慮を統合したデータガバナンスへの全政府的アプローチを強調しています。
  • この勧告は、OECDのメンバーおよびパートナーによる自発的な遵守を促し、責任あるデータ共有の実践を推進します。

データガバナンスの主要概念

  • データ価値サイクル: データの作成から削除までの全ライフサイクルをカバーし、アルゴリズムや人間のスキルなどの補完的リソースの必要性を強調します。
  • データオープンネスの連続体: 閉じたデータからオープンなデータまでのアクセスを分類する枠組みであり、リスクと信頼に基づいたカスタマイズされた共有の取り決めを可能にします。
  • データエコシステム: データホルダー、プロデューサー、中介者などのさまざまな利害関係者が相互作用し、価値を生み出すため、対立する利益のバランスを取るための協力と信頼が必要です。

データアクセスと共有の強化のための原則

  • 信頼の強化: 利害関係者を相談や透明性を通じて関与させ、データガバナンスに対する信頼を築きます。
  • データへの投資: データ共有を促進するために市場ベースのアプローチや持続可能なビジネスモデルを推進し、イノベーションのための規制サンドボックスを含めます。
  • データの効果的な利用: データが見つけやすく、アクセス可能で、相互運用可能で、再利用可能(FAIR原則)であることを確保し、国境を越えたデータ共有を促進します。

実践的な応用と影響

  • 政府は、責任あるデータガバナンスを促進するためにEASDの原則に沿った国家データ戦略を採用すべきです。
  • プライバシーと知的財産権を保護しながらデータ共有を支援するために、一貫した法的枠組みが必要です。
  • さまざまな国からの成功事例は、データアクセスの強化における公私パートナーシップと利害関係者の関与の重要性を示しています。

データ共有インフラの強化

  • 中央集権的データリポジトリ: 公共機関間での効率的な情報共有を促進するために中央集権的なインフラを確立し、サービス提供を改善し、データ駆動型の公共政策を支援します。
  • 公共の関与: データ駆動型経済の利点とリスクに対する公共の理解を深めるために、責任あるデータ共有の実践を促進します。
  • 利害関係者の意見: イノベーションを妨げることなくAI関連のリスクに対処するために、規制に関する議論に利害関係者を関与させます。

競争当局への影響

  • 市場のダイナミクス: 消費者データと引き換えに無料の製品を提供するマルチサイドビジネスモデルの影響を考慮し、市場力を固定化する可能性があります。
  • 需要側の特性: データが市場のダイナミクスに影響を与え、検索コスト、切り替えコスト、消費者の選択に影響を及ぼし、支配的な市場ポジションを強化する可能性があることを認識します。

研究における責任あるデータ共有

  • 研究データの共有: 機関や研究者間でのデータ共有を促進するために、オーストラリアの責任ある研究行動に関するコードに沿ったガイドラインに従います。
  • ライセンスの分類: AIや機械学習におけるデータ利用に関連する責任と権利を明確にするためのデータライセンスの分類を開発します。

オープンガバメントデータとAI

  • オープンデータの重要性: オープンガバメントデータは、AIシステムの開発とトレーニングに不可欠であり、信頼できる入力として機能します。
  • リスク管理: オープンデータは、データの出所やソースの信頼性に関連するリスクを管理し、AIアプリケーションの整合性を高めます。

結論の洞察

  • OECDのEASDに関する勧告は、データアクセスと共有を強化するための包括的な枠組みを提供し、信頼、投資、効果的なガバナンスを強調しています。
  • これらの原則を実施することで、公共サービスの改善、データ駆動型経済におけるイノベーション、責任あるAIの開発につながる可能性があります。
  • 利害関係者の継続的な関与と確立されたガイドラインの遵守は、データ共有イニシアチブの完全な潜在能力を実現するために不可欠です。

Policy Brief:

なお、3/8には以下のPolicy Brief が出ています。

脚注

  1. 2月6日には本件に関して Policy Brief が出ています。

コメントを残す

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.