河野大臣会見221013

マイナンバーカードと保険証の一体化以外にもいろいろ重要な話が出たマイナンバーカード関連10/13河野デジタル大臣会見要旨と個人的感想

マイナンバーカードの普及の取り組みについて、さる10月13日10時頃より河野大臣の会見がありました。重要な発表があったので、すこし遅くなりましたがまとめておきます。もとの会見のようすはYoutubeで見ることができます。

I. 河野大臣より総理への報告

デジタル社会を新しく作っていくためのパスポートの役割をマイナンバーカードは果たすわけだが、そのためのマイナンバーカードの普及・利用の拡大、総理からの指示の下 9/29 から関係省庁の連絡会議を議長として行っている。関係省庁からの検討の結果を取りまとめ。取得/利用の加速の取り組みおよび経済対策におけるマイナンバーカード関連の施策について総理に報告した。

1. マイナンバーカードと健康保険証の一体化

  • マイナンバーカードと健康保険証の一体化(閣議決定済み)の加速のために訪問診療、あんま鍼灸などにおいてマイナンバーカードに対応するための補正予算の要求を予定をする
  • マイナンバーカードの取得の徹底、カードの手続き様式の見直しの上、この検討を行った上で、 2024年度秋に、現在の健康保険証の廃止を目指す

2. 運転免許証との一体化

  • 2024年度末の運転免許証との一体化の予定を前倒しできないか検討を警察庁と進めていく。
  • 2023年度からオンライン講習(一部道府県)をゴールドから一般へ広げていく。(47 都道府県全てに広がるのはもうちょっと時間がかかる)

3. マイナンバーカードの電子証明書のスマホ搭載

  • オンライン申請、マイナポータルへのログイン、コンビニ交付などをスマホでできるようにする。
  • 現在システム構築を実施中。Android スマホによるサービスの提供開始を2023-05-11に。

4. 金融機関等による基本4情報の提供サービス

  • また、来年の5/16 から公的個人認証サービスを利用する金融機関等の事業者に、本人の同意を前提として、住所などの基本四情報を提供するサービスを開始。金融機関などの事業者においては、継続的な顧客確認を効率的スピーディーに行うことができるようになる。

5. 民間事業者における電子証明書利用料の当面の無料化

  • 電子証明書の有効性を確認する際、現行では署名用の場合は一件 20円、利用証明用の場合は一件2円の利用料が必要となっているが、当面 3 年間はこの手数料を両方とも無料に。来年の 1 月からこの無料化処置を始める。

II. 総理からの指示

今月中に取りまとめる経済総合対策総合経済対策に関して、

  1. 免許証や保険証などの各種カードのマイナンバーへの一体化の加速、カードの取得促進のための戦略的な広報や自治体支援、民間事業者の電子証明書の手数料の当面の無料化、
  2. 民間でのカード利活用の実証実験の支援、自治体でのカード利活用の拡大の支援、
  3. こうしたカードの利活用シーンの拡大索

の3点を盛り込むよう指示。

また、マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、

  • 特に細部に渡りきめ細かく環境を整備する必要がある。
  • 医療を受ける国民、医療提供する医療機関関係者などの理解が得られるよう、丁寧に取り組んでいく必要がある。
  • このため、総合経済対策の決定までの間、厚労大臣デジタル大臣総務大臣が連携して細部に渡り、遺漏の無いようまた関係者の理解が得られるよう、詰めの作業を行ってもらいたい。

という指示があった。

III. 個人的な感想

質疑応答をまだ聞いていないので中間的な感想ですが…。

  1. 「5. 民間事業者における電子証明書利用料の当面の無料化」は地味に大きい。これで使いやすくなる。
  2. 「4. 金融機関等による基本4情報の提供サービス」は、これによって住所の変更を追えるようになるのはコスト効果は大きいだろうし、利用者にとっての利便性も上がるので良い。実装面ではどうやるのか興味がある。API提供になるはずだが…。同意を前提に、かつアクセス元も絞るというと、Open Banking とかでやってるFAPIみたいな仕組みになりますかね。
  3. 「マイナンバーカードと健康保険証の一体化」は、デリゲーション・ユースケースをどうするのか興味がある。そもそも保険証というのは保険サービスへのアクセス権を表す認可トークンであって、身分証明書(認証トークン)では無い。対象スコープを限定したトークンである。この性質をつかって、ヘルパーさんなどに預けるなどの対応が比較的容易にされてきた。これを、オールマイティ・トークンたるマイナンバーカードに一本化してしまい、スコープを限定したトークンをなくしてしまうと、こうした「預ける」ユースケースで問題が出てくるのではないかと思われる。このあたりの運用をどうするのか興味がある。
  4. また、保険証としての利用シーンでは、本人が記憶による認証は使えない場合が多いであろうし、「顔」というモダリティも負傷などで使えない状況であることがそれなりに想定される。また、カードリーダーの電力が得られないようないわゆるVerifier offlineのケースも。このようなケースにどうするのだろうか。結局、ICカードのアプリケーションとして保険証アプリが載っているだけになるのかな?でも、その場合は、券面利用ができなくなりますよねぇ…。カードにこだわるのは、券面利用したいというニーズもあるからですよねぇ。このあたりが「カードの手続き様式の見直し」に跳ねてくるんだろうか。1
  5. 「2. 運転免許証との一体化」は、わたしは制度の検討の段階で主張していたのでなによりではある。もっとも、発行基盤としての利用だが。
  6. 「3. マイナンバーカードの電子証明書のスマホ搭載」だが、無理にX.509電子証明書でやる必要はない気がする。カードは発行するんですよね?であれば、カードに入っている公的個人認証で「bless」した利用目的別のトークンを入れるくらい軽くしても良いのではないかと思う。

脚注

  1. なお、verifier online の場合は、特定機関認証用証明書を使ってJPKI-APが資格確認サービス機関を認証、正しければ利用者証明用証明書を使ってPIN入力をバイパスする形で機関コードと乱数を組み合わせたものに署名し、これを確認することで利用者認証を行い、利用者証明用証明書のシリアルを使って保険の資格確認を行うらしい。(参考文献:何故マイナンバーカードの保険証利用が暗証番号レスで可能なのか

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