面白い記事1が流れてきた。1998年、つまり17年前のカローラと現行のカローラでは安全性能が月とスッポンというものだ。曰く、
ANCAPは1998年式カローラに星ゼロの評価を下した。センサーはダミー人形が頭部、脚部、胸部に重傷を受けたと示しており、同車のスコアは16ポイント中わずか0.40ポイントという結果になった。
一方の2015年式カローラは、5つ星評価と16ポイント中13ポイントを獲得した。エアバッグや格段に細分化された車体構造により、ドライバーは無事歩けるか、少なくとも軽傷で足を引きずって済む程度だ。
(出所)http://jp.autoblog.com/2017/05/18/corolla-vs-corolla-crash-test-safety-video/
衝突の映像はこちら。
これも、多くはコンピュータによるシミュレーションなどが功を奏した、情報革命の結果なのではないだろうか。だとすると、デジタルデフレーションの文脈で考えてみるのも面白い。
1998年のカローラ1.6SE 4WD と現行のカローラアクシオ1.5X 4WDは共に約170万円。だが、性能は段違いで同じ「車」と考えるべきではない。性能あたりの価格は大幅に下がっている。そのため、同じ製品=同じ性能とした時の価格は猛烈に下がっている。つまりデジタル技術の進歩により、デフレが進行している。これがデジタルデフレーション。しかし、政府統計は両者を同じものと扱って統計を算出する。なので、政府統計ではこのデフレ現象(デジタル・デフレーション)が捉えられず、ほぼ横ばいのように出てしまう。その為、政府は十分なデフレ対策をせず、インフレバイアスがかかった政策を取り続け、「失われた○年」が続いていく。というのがデジタルデフレーション論の要旨。このカローラの事例は、正にそれを体現してますよね。
ところで、経産省あたりで、デジタル・デフレーションを補正した統計とか作ってみないのかな。面白そうだとは思うんだが、趣味でできる範囲ははるかに超えているので…。