🏛️ 政府・政策の大きな変化
- Real ID法が2025年5月7日から本格施行開始 – 18歳以上の全米国民が国内線搭乗や連邦施設への立ち入りにReal ID準拠の身分証明書が必要に。顔認識互換の生体認証写真が義務化され、事実上の全米生体認証システムが稼働開始 TSA
- 社会保障庁(SSA)が身元確認要件を強化(4月14日施行) – 障害保険、メディケア、SSI申請は電話対応継続も、退職・遺族・配偶者給付申請は対面での身元確認を義務化。不正防止とセキュリティ強化が目的 Social Security Administration
- トランプ政権がバイデン政権のデジタルアイデンティティ政策を全面撤回(6月) – サイバーセキュリティ大統領令により、デジタルIDソリューションの活用推進やモバイル運転免許証支援政策を廃止。不法移民による公的給付不正受給防止を理由に挙げる Federal News Network
- EUデジタルアイデンティティフレームワーク ARF の ver.2.0 (5月28日) と 2.1 (6月6日)が公表 European Digital Identity
- 2025年6月24日から「iPhoneのマイナンバーカード」を開始予定 デジタル庁
- 会計士や司法書士など44資格、オンライン登録可能に 改正法成立:日本経済新聞
- Google Wallet が Digital ID サポートする州を拡大 (Kiplinger)
🔐 サイバーセキュリティと連邦政府の対応
- 連邦機関のアイデンティティ管理が大転換期に – 従来のコンプライアンス重視から、積極的なアイデンティティセキュリティ戦略へ移行。国家レベルの攻撃や内部脅威への対抗策として、CISOがアイデンティティ管理の主導権を握る動きが加速 Federal News Network
- ゼロ・スタンディング・プリビレッジ概念の普及 – 特権を動的に付与・剥奪するシステムで、攻撃者の特権昇格経路を遮断。エンドポイント特権管理への投資が最も効果的とされる
- フランスで個人データ侵害が20%増加 – CNILの報告によると、2024年に100万人以上の市民に影響。デジタルアイデンティティのサイバーレジリエンス強化の必要性が明確に Biometric Update
🔬 生体認証技術の最新動向
- Identiverse 2025で顔認証が主流に – ラスベガスで開催された最大級のアイデンティティ会議で、指紋から顔認証への移行が鮮明に。タッチレス、直感的操作、高いユーザー受容性が要因 Aware Biometrics
- ライブネス検出技術が重要な差別化要因に – ディープフェイクや合成アイデンティティの脅威に対抗。パッシブライブネス検出で、まばたきや頭の動きを要求せずに実在性を確認
- 生体認証による多要素認証の統合 – 従来の「知識・所有・存在」の3要素を、1回の顔認証で満たす技術が実用化段階に
💼 企業・投資動向
- BIO-keyが某国防衛省から60万ドルの追加契約を獲得(6月17日発表) – 47,000人のユーザー向け生体認証アクセスシステム拡張。重要情報へのセキュアアクセス強化が目的 Globe Newswire
- TokenがBioKey次世代生体認証セキュリティキーを発表(6月3日) – 企業向けフィッシング耐性MFAソリューション。エンタープライズグレードのセキュリティを提供
- Xperix と Polaris AIがMOU締結 – 金融・公共部門向け生体認証セキュリティソリューションの共同開発を発表
🌐 デジタルアイデンティティの信頼構築
- 「セキュリティ・バイ・デザイン」原則の普及 – スマートフォンチップからクラウドプラットフォームまで、設計段階からセキュリティを組み込む必要性が強調
- クイーンズランド州デジタルIDウォレットが成功事例に – 100万ユーザーを達成し、セキュアでユーザー中心のテクノロジーモデルとして注目
- 欧州デジタルアイデンティティウォレット実装への期待 – 汎欧州アイデンティティフレームワークとしての可能性も、市民の信頼、企業の価値認識、法的枠組みの整合性が成功の鍵
📊 プライバシーとデータ保護
- 2025年に発効した州プライバシー法の影響拡大 – デラウェア州とニュージャージー州で新たな包括的プライバシー法が施行。高リスクデータ処理に対するデータ保護評価が義務化
- 欧州データ保護委員会がブロックチェーン規則案を承認(5月) – 個人データのブロックチェーン保存・共有に関する新規則制定
⚖️標準関連
- W3C が Verifiable Credentials 2.0 を W3C Standardとして発行(5月15日)
これらのニュースは、2025年5月〜6月にアイデンティティ分野で起きている重要な転換点を示しています。特に、Real ID法の本格施行、政府のデジタルアイデンティティ政策の方向転換、生体認証技術の成熟化が同時期に発生し、米国および世界のデジタルアイデンティティエコシステムに大きな影響を与えています。