武雄市Facebook化に学びたい?！

この手のことは、http://www.facebook.com/WhiteHouse の左側に目に付く形でリンクされているプライバシーポリシーに記載されている。これに対して、武雄市はどうか？ http://ja-jp.facebook.com/takeocity で「プライバシ」を検索すると、Facebookのものしかヒットしない。もう少し調べると、左メニューの武雄市_Home を表示させて一番下まで行ったところにプライバシーポリシーがあった^[2]。これによると、個人情報の提供は任意であるようだ。実際、ページ自体も iFrame で読み込んでいるだけで、独自のサーバにコンテンツはあるようだ。つまり、Facebookに移行した、というよりは Facebook に出店した感じか。これなら、Yahoo! や他にも出店できそうではある。

ただ、それにしたって、すべてのデータが武雄市のサーバに書き込まれるわけではない。ウォールへの書き込みなどは、Facebook に保存されるわけだ。これは、樋口市長が言うように^[3] 2012年4月に庁内ネットもFacebook に移行したとすると、より重要な意味を持ってくる。

越境データ問題とデータの保全性の問題である。

Facebookの規約では、データは米国に転送されるとある。このデータは御存知の通り、米国当局に押収されうる。日本の行政機関としてこれをどう評価したのか？別に否定しているわけではないが、評価結果が知りたい。

ちなみに、カナダの一部の州では、公共機関がデータが米国に移送されるサービスの利用を禁じているらしい。プライバシー、機密保持、サービス継続性などの観点からだ。

機密保持というのは、例えば、国から地方自治体に、機密情報が送られたとする。これが、米国のデータセンターに保存される。すると、米国当局は、令状の提示無しで^[4]これを抜き取り読むことができる。これは、行政機関としてやって良いことなのか？

こうしたことに関しても、おそらく色々と検討されたに違いない。検討結果の議事録や報告書があればぜひシェアしていただきたい。今後他の自治体やら政府機関やらがパブリッククラウド化するときに非常に役に立つはずだ。

 (2012/2/28追記）

案の定というかなんというか、これらの検討はされていないらしい。@keikuma さんが、公文書開示請求制度使って、一切の関連資料を取り寄せて調べられた[5]ところ、越境データや住民のプライバシーに関する考慮は一切無しとのことです。コンテンツそのものはiFrameだから手元にあるという、一部の完全性に関する考慮だけはされていましたとのこと。

また、 イーコーポレーションドットジェーピー代表取締役社長、青森市情報政策調整監（CIO補佐官）、佐賀県統括本部情報課情報企画監の 廉 宗淳 (@YomutakuJP) さんからの情報だと、韓国も２週間ほど前に、行政機関が一部クラウドを使用することを禁じたとのこと[6]。

一方では、樋渡啓祐武雄市長は、自身のブログページ[7] で、

「このFacebookイントラ、タダです。タダ。しかも、極めて動作が安定していて、かつ、使っていて楽しい。意見交換だけではなく、カレンダー、公用車予約、会議室予約も組み入れます。 」

と述べている。タダより高いものは無いことにならなければ良いが。

[1] 実際には、元々のサーバのページを iFrame で Facebook 上に表示しているので、全面移行というわけでもない。ただし、ユーザからのコメントなどは Facebook に書きこまれてしまうし、Facebook のアカウントが無いと書き込めそうもない。（←違ったら教えて下さい。）

[2] これは、なかなか気が付かないだろう。左側の目につくところに載せたほうが良いと思う。

[3] http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1202/16/news090_2.html

[4] いわゆる愛国者法では、指定の無い長さの期間、令状の提示を遅らせることができるはず。（←あってるかな。詳しい人、教えてください。）

[5] (2/28追記) http://twitter.com/keikuma/status/174147307451854848

[6] (2/28追記) http://twitter.com/YomutakuJp/status/174152532204077056

[7] (2/28追記) http://hiwa1118.exblog.jp/15337563/