isologue さんとの twitter の会話で、円周率(π)の話が出た。元の話は、
に端を発して、私が
と書いたところ、
ということだったので、
いやいや、あれが円周率の正しい定義であります。こちらからなら、円周率が2πrであることはすぐに証明出来ますが、円周から定義すると、πr2の証明がちょっと長くなるので、エレガントさに欠けるかと。
という話。Twitter で書くのは、いささか長くなるので、こちらでさらに。
まずは、楕円の面積から。
公式:楕円の面積は、横a、縦bとすると、abπである。
証明:
πは半径1の円の面積。この円を、横a倍、縦b倍に引き伸ばしたら、その面積はabπ。QED
公式:半径rの円の面積は、πr2である。
証明:
上記公式abπより、rrπ=πr2。QED
公式:半径rの円の円周は、2πr で求められる。
証明:
円を、中心を頂点とするn個の三角形に分割し、それぞれの三角形の底辺をb, 高さをhとする。
次に、曲線を分割する点を結ぶ折れ線の長さの和をすべての分割について考えたときに、その和に上限が存在するならば、その値を曲線の長さと定義する。すると、n→∞ にしたがって、
nbh/2 → πr2 , h→r, nb→l (もしlが存在するならば)
ただし、l=円周なので、
lr/2 = πr2 ⇒ l=2πr
QED
ものすごく、簡単でしょ?*1これなら中学生、いや、ひょっとすると小学校高学年でもわかる。
対して、πを円周との関係で定義して、πr2を導こうとすると、円周の長さLは、円周を分割した線分の和L(n)の極限ということは所与で使って良いのに対し(曲線の長さの定義だから)、円の面積は内接する正n角形の面積の極限ということは、所与とは出来ないので、まずそれの証明をしなければいけないというのが、大きな差かな。まぁ、大した差じゃないんですが、一手間増えます。
上記同様ナイーブな(つまりいい加減な)証明をしようとすると、
直径1の円の円周をπと定義すると、半径rの円の円周は2πr。
円を、中心を頂点とする、内接するn個の二等辺三角形に分割し、その底辺をb、高さをhとすると、n個の三角形の面積の和、Aは、
A=nbh/2
n→∞ において、曲線の長さの定義により、nb→2πr、h→rなので、
A=2πrr/2 ⇔ A=πr2
とやりたいところなんですがね。直感的にはこれで十分なんでしょうが、内接する正n角形の極限は円の内測度で面積では無いので、内測度=外測度=面積という証明をやらないといけないんでしょうね。それには、外接する正n角形の面積(外側度)の下限がやはりπr2ということを示すと。すると、内測度=外測度=面積なので、半径1の円の面積はπr2ということになりますね。。
参考:
円の面積。
*1 l が存在するかどうか分かんないだろー。それに、面積の定義もしてないし、円の面積が存在するかどうかもやってないじゃないかー、というツッコミあり。確かに…。
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