デジタルアイデンティティ：世界の最新動向 –10月22日版

グローバル市場動向

iProov の取引量が前年比63%増加

生体認証IDベンダーのiProovは、昨年同期と比較して取引量が63%増加したことを発表しました。同社によると、この成長はサービスのデジタル化の急速な進展と、特に生成AIを活用したディープフェイクなどの高度なサイバー攻撕の脅威の増大によるものです。iProovは最近、Avoco Secure、Guardline、TrustCloudとのパートナーシップを新たに確立し、エコシステムを拡大しています。

Oktaのパートナーファースト成長戦略

Oktaは、パートナーファーストの成長戦略を採用し、以下の施策を展開します：

• パートナー向けセルフサービスリソースとツールの中央ハブ設置
• オンデマンド教育、タイムリーな情報提供
• セルフサービスマーケティング自動化
• プロジェクト提出機能の提供
• 顧客へのパートナーソリューション紹介機能

また、OpenID Foundationにおいて、Microsoft、Google、Ping Identityなどと共同で、AIエージェントの統合によりさらにリスクが高まるSaaSアプリのセキュリティ強化に向けた新たなイニシアチブ IPSE WGを立ち上げました。

市場予測

SkyQuestの分析によると、グローバルID認証市場は2031年までに397.3億ドルに達し、予測期間中のCAGRは16.7%となる見込みです。この成長は以下の要因に支えられています：

• ID関連の不正やサイバー犯罪の増加
• データセキュリティの使用事例の拡大
• 組織や政府のデジタル化政策
• 自動化、機械学習、AI技術の導入

各国の最新動向

アンギラ

アンギラ政府（GOA）とIdentity Digitalは、.AIドメインからの政府収入増加に向けて協力することを発表しました。AI技術のブームと.AIドメインの利用拡大により、2023年には政府の総収入の20%を占めるまでになっています。両者は「質の高いドメインを優先し、.AIドメイン名への信頼を長期的に確立する世界クラスのレジストリ管理プログラム」の構築を目指しています。

ベトナム

ベトナムでは、2025年までに6,000万人の納税者が電子身分証明書を使用してモバイル税務アプリケーション「eTax Mobile」を利用できるようになります。税務総局は、デジタルIDを税務管理システム全体に展開する計画の一環として、税コードを国民データベースに統合します。電子認証データは国民向けモバイルアプリケーション「VneID」で管理され、Identity Weekによると、来年までに全納税者の電子IDと税務情報のリンクが完了する予定です。

欧州

Mastercardは、オンラインでの本人確認をより安全かつ効率的にするため、Identity Attribute Verification（本人属性確認）サービスを欧州各国に展開します¹。このサービスにより、企業や金融機関は、顧客に追加書類の提出を求めることなく、既存の支払いカードデータを使用して年齢、生年月日、住所などの情報を確認できるようになります。

アメリカ

マネージドアイデンティティソリューションプロバイダー（MISP）のBeyondIDは、顧客向けの不正防止ソリューションを発表しました。これは同社のマネージドアイデンティティソリューションの一部として提供され、「セキュアなトータルエクスペリエンス」の実現を支援します。

パナマ

パナマ政府は、市民と永住者向けのデジタルIDの導入を決定しました。このデジタルIDは：

• 選挙裁判所が発行する物理的文書の情報を電子化
• 従来の物理的な身分証明書と同等の法的効力を持つ
• すべての公的機関と民間企業のオンラインサービスで使用可能
• デジタルID、医療履歴、履歴書などの個人文書を安全に保管
• 顔認証や生体認証によるセキュリティ確保
• スマートフォンアプリを通じて管理

なお、このデジタルIDは任意であり、物理的な身分証明書の代替ではありません。

キルギス

キルギスは、デジタルIDを国家開発計画の主要コンポーネントと位置付けています。2024-2028年のデジタル変革ビジョンでは、エストニアのX-Roadシステムをモデルとしたトゥンドゥクプラットフォームを通じて公共サービスを統合します。さらに、ウズベキスタンやカザフスタンとの国境を越えたデジタルID連携も検討中です。MühlbauerやEmptechなどのグローバル企業が、生体認証情報とデジタルIDの提供を担当しています。

（出所）https://www.thinkdigitalpartners.com/news/2024/10/21/digital-identity-global-roundup-188/

1. (source)https://www.mastercard.com/news/perspectives/2024/a-digital-way-to-answer-the-age-old-question-can-i-see-some-id/